養命酒効果で無双になった日

疲れには養命酒が効くらしい、といった内容のツイートが流れてきた。

日々の家事や育児でまさしく疲れてしかいなかった私は、藁にもすがる思いで薬局へと向かった。真っ赤な箱に収められた養命酒。久しぶりの再会だ。

前回飲んでみたときは、あまり効果が分からなかったっけ…と思い返して懐かしさに包まれる。以前この赤い箱を所有していたときは、私は何人かの大人たちと暮らしていた。いわゆるシェアハウスというやつだ。赤い箱から茶色い瓶を出したあたりで居合わせた同居人に文字通りシェアして、そこから小さな飲み会に発展したりしていた。楽しかったあの頃。

もうひとつの思い出は、短期の勤務先で出会った人との会話。「養命酒、ありゃあ飲みすぎるから駄目だ…と呑んべえが言っていましたね」日が暮れた深い森、緑の匂い、足元からすうっと吹き上げる涼やかな風、ランタンの灯り、夏の夜。

さて今回は、まだ幼い二児をほとんど一人で世話するワンオペな日々。うだるような都市部の夏、じりじりと焼けつくような日差しのもとで押すベビーカー。目覚めてから眠りにつくまでの賑やかさ、動きの多さ、疲労疲労疲労…… 養命酒よ、どうかひとつ、宜しく。

そうして口に含んだ液体は、あの頃と変わらない味だった。良薬口に苦しというが、その苦さが味わい深くて美味しい。これこそがお酒のあるべき役割なのではと思ってしまうほど。ただ酔わせるだけでなく、生命を改善する薬になるということ。「食前または就寝前の服用」につき第一回の服用は就寝前に。なんだか身体が隅々まで温かいな、と思いながら眠りについた。

 

「あれ、いつもと何かが違うぞ?」と気づいたのは翌朝の起床時だった。

前日の長時間移動を受けて全身が筋肉痛になっている。それでも「起きよう」と思える。これが我が身に起こった大きな変化のうちの、ひとつ。

普段なら全身の筋肉痛に引っ張られて「起きたくない」と思うのだ。あともう少しだけ、この疲労感がもう少し癒えるまで……そんな言い訳とともにずるずると布団の中で過ごしてしまう。

肉体の疲労と、気力が出ないことは、切り離すことができるのだと知った。

疲れがまるごと消え去るわけでは決してない。ただ、疲れがある状態でも、意欲が消えてしまうことがない。疲れを確かに感じながらも、身体を動かして、生活を営むだけのやる気がみなぎってくる。そもそも朝からやる気に満ちていること自体、自分にとっては滅多にないコンディションである。子どもが二人になってからは初めてといっても過言ではない。すごいぞ養命酒

 

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眠気がきたので今日はここまで。さらに効果を確信する続きは、またそのうちに更新します。